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塞翁

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塞翁
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 日常の中にある人の持つちっぽけな気持ちを浮かんだままに記しています。

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忘我

2009/06/25 03:17
 人の出入りが多い。
 
 身近だった人たちと縁遠くなって
 浅い付き合いの人たちばかりが、増えていく。
 知り合ったそばから他人に戻って、人づきあいがうまいわけでも、人当たりがいいわけでもない私は、対人希求度も低くて、出来ることなら人から遠ざかっていたいようでもあるし、生来の甘えん坊の憶病者にはそれも如何なもので、だからそれがどうした、どうするの?と、なにか、20年前からそんなくだらない思考のままであるようで、いつか何かが変わるのかしら?と、小首をかしげても、可愛げなく。
 
 若くもないから青年期の言い表せない葛藤をごねてみてもみっともないだけ。
 それでも、なぜかしらあの頃はそれが高尚な疑問であったようにも感じて、
 あの頃の自分の方がきっと賢かったのだとは思う。
 諦めるだけ得意になって、いつかもう自分の立ち位置さえも見えなくなってしまったようにも思う。
 
 あの頃はふわふわと漂うことに、不安と格好の良さを感じていたのだけれど、そんな自分に疑問を持ってしまえば、それはとても無残に無価値。
 それでも何かしらしがみついて生きていこうとする気もあるのか、霞を食べて生きていけるわけでもないから、何かしら外への活動で、存在しているような、希薄な自分がいる。
 たまにこんなダサい自分をつらつらと書き連ねて、自虐するのがあほらしい。
 
 言葉が浮かばなくなってどれくらいたつのかしら?
 感情が見えなくなって、自分はいったい今何を感じているのかしら?
 わからないだけ。
 
 別にもうそれでもいいわ。
 
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どうして?

2009/04/22 00:10
 ねぇ、どうして?
 
 がんばってるよ。
 みんなとおんなじに頑張ってるよ。

 なのにどうして気づいてあげられないの?
 
 うまく馴染めないから?
 作業効率が悪いから?

 でも頑張ってるよ。

 なのになんで自分もこんなにも冷たいの?

 ねぇ、どうして?

 何がいけないの?
 
 そんなにダメなの?
 
 そんなことないのに。

 まだ勝手がわからないだけなのに。
  
 ねぇどうして?
 
 どうしてあのひとはこんな狭い世界でひとりぼっちにならなくちゃいけないの?
 
 一人はさみしいのに、
 どうしてみんなが冷たくなるのかな。
 
 こんなに狭い世界で
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杞憂

2008/12/19 01:16
 私の住む街をある人は

 「空が低くて、今にも押し迫ってくるようだ」と言った。

 杞の国の人でもないけれど、
 
 その人もそんなことがないこと知っているけれど、
 
 ただその人が言いたかったことは空が空として自分の上にある事がうれしいのだと、

 この都会の薄っぺらな空とは違うその自然なさまが好きなのだと。
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笑顔

2008/06/06 23:38
 私は笑う事が出来ないけれど

 あなたの微笑みが私の幸せだと私は知っている

 そんなものまやかしだと人は嗤うでしょうけれど

 笑い方を忘れた私には

 あなたが笑っていてくれる
  そのことだけが心に安らぎを与えてくれる

 幸せを形としてみることはできないけれど

 幸福や快を表現は出来ないけれど

 乾いた心を一刻、潤わしてくれるのはあなたのその笑顔だけ


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その硝子の向こう側

2008/02/25 21:18
 零に近づく冬の朝
 
 子どもが踏み砕いたか
  大きく罅の入った水たまり

 透明な冬の陽の中に
  薄く乳白色の氷は
 劣悪な昭和のガラスに似ている

 割られて放置された
  薄ら寒い廃屋の窓のよう

 色褪せた淋しさに包まれて
 
 郷愁に似た感傷と
  打ち砕かれてなくなった思い出と

 悲しい気持ちが半分に
 懐かしく愛しい気持ちが半分に

 頬を伝い落ちた涙は
  アスファルトにはじかれ  消えた

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工場2

2008/02/13 13:36
 鉛色の重たい空へ
  2筋の偽物の雲の道

 曇天の街の陰影

  すべてが作りもの

  すべてが無機の

  命も意思も持ち合わせない

 この世界で異質であって

   浮いている

 それもいつかはこの灰色に飲み込まれ


                       希薄になる

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工場1

2008/02/13 13:27
 空に溶けない工場の煙

  水色した天井に浮かんだ染みのよう


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雪虫

2007/12/13 23:15

 冬を告げる使者は
  ちらちらと粉雪のように
 
 上下に斜にと空を舞う
  
 どこか水の中
  水面を目差すように
 不器用に泳ぐ


  雪が降る


 それは
  大気の重さに負けた雪虫の死骸のようで

   冷たくて
  
   せつなくて

  いつの間にか私は泣いていた

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月明かり

2007/12/12 23:00
あなたは月
 真っ暗なこの世界で
  私の足下を照らす
 ただ一つの光
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寝待月

2007/11/29 01:11

欠けてゆく月を見て
 
 それでも猶、光をやわらげない様子に別れゆく恋人を重ねた

最も二人が愛し合っていた時間を
 嘘にしない為の精一杯の騙し合い

 私たちの心はどうして離れてしまったの
  私たちの心がかみ合わなくなったのはいつから
 
 そんな疑問を口にすることさえ出来ずに
  
 ただこのまま私たちは緩やかに別れに向かっていくという確信だけ

いつか私たちの心はまたあの満月のように満かしら
 そんなことは絶対にあり得ないことを知りつつも
  それでもそんなちっぽけな期待を持ってしまう

 この雲が晴れても
  私たちを照らす月光は
   もう二人を一緒には照らさない

 悲しいと感じているのは私だけなのかしら
  半身とも思えたあなたがせめてこの月の消えるまで
 その間だけでも私と同じ気持ちであってくれるのなら
  もうちょっとだけ私はがんばれるのに

 だめね・・・

 もう月の半分はいなくなってしまったんだもの

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憫笑

2007/11/26 19:18
澄んだ空気に月は翳りなく皓々と昼のように地上を照らす

 月明かりの下
  白い吐息が二つ空へと上っていく

長めのマフラーに二人肩寄せ合って包まって
 なんだか他愛もないこと語り合っていたけれど
幸せだった思い出だけはいつまでも色褪せずに胸に残る

 私たちの愛もこの月夜と同じように
  明るく透明にどこまでもどこまでも澄んでいた

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礫-レキ-

2007/11/15 01:50

 安息の地などなく

 石くれた荒野が広がる

 時たま目にする雑木に
  葉はなく、朽ちるを待つのみ

 水もなく
  乾いた風のただ吹く中で

 私たちも又
  何一つ残さず
   消えてゆくだけ


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十三夜

2007/10/23 22:19
 
 星は薄く散る雲に隠されて瞬きは幽かだけれど
 
 月はほの白く大地を照らし
  やわらかな光りは空を明るく藍に染める

 潮は凪、虫の声もどこか抑え気味に
  厳粛なようで、それでいて優しく

 逸る心を静めるように
  止まる背を押すように

 静と動の交じわいにある淡いの一刻
 
 流れゆく月日と人に
  一時の休息をもたらす
 
 静寂は張り詰めた糸のように
  凛として揺るがない

 やさしさの中にある力強さは
  慈愛といえようか

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久遠&樹

2007/10/22 22:21


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落書き

2007/10/19 18:53


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落書き

2007/10/16 22:41


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アリス

2007/10/16 17:18


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淫雨

2007/10/08 12:18

 雨が降る
  いつまでも止まぬ雨が
 
 私を打つ雨粒の一つ一つが
  冷たく悲しみを呼ぶ

 この雨が汚れた私の全てを流しきってくれればよいのに

  私の存在の一片までも分解し押し流してくれるのなら
   融けて瓦解した醜い街の見窄らしい私
    そんな醜悪な中途半端さをとどめたまま在るならば
   一層この心の朽ちるを待とう   
  叶うことのない願いであるなら、この雨さえも呪うことにしよう

  私の心を空に
   私の身体を土へと還しておくれ

 そんな望みさえも叶わないのなら
    この世の全てを憎むことにしよう

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鰯雲

2007/09/09 23:42

 空には鰯雲

 ふっと秋の味覚が浮かぶ

 母の味、祖母の味
  あなたとともに食した数々
 ずっと私の中に思い出とともに残る

 空見て浮かぶ食彩は
  なぜだろう風情ひとつないくせに
 
   私の心を動かした

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金鈴花

2007/08/29 18:45

 川面に霧らふ夕暮れに
 
  夏の香の過ぎ行くを感じる

 時雨は蝉の声を流し
  硝子の風鈴の役も終え
   せせらぎに鈴虫の音が重なる

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曇硝子

2007/08/25 19:49

 舞台の端役も入れ替わり

 主役不在のままエンドロールまで突き進む

 早送りのように騒がしく

 葬列のように重々しく

 何か意味があって演じるわけではないけれど

 唱和するのは児童の声

 意味のないセリフは続き
 
 口笛吹いて消えていく
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落胆

2007/08/25 19:39
 
 夢の中
  微睡の中で手にしたもの

 それは仄かに光を携え
  やわくあたたかな風を纏って

 この手に包み
  胸の中にうずめるように抱き抱いたけれど

 なんの前触れなく消えてしまって

 朧になる記憶の中のカタチに
  わずかに残されたのはその余韻だけ
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初恋

2007/07/04 05:20
 触れた小指の先

  ぴりっと静電気
  
 恥ずかしさと
      後悔と

 夕焼けにのびた影は
 それでも2人寄り添ったまま

  少しずつ

   少しずつ

 2人の距離を近づけていく

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郷愁

2007/07/04 04:15

 救いは訪れやしない

 やさしさの時間はあっという間に終わる

 行く道の違えた事に気がついて
  途方にくれたところで
 既に手をひいてくれる人は居ない

 ころころと転がり落ちるは簡単で
 鳴る鐘の音を頼りにまた歩いてみれば
 そこは底なしの沼

 人の誰もいなくなった世界で
 どこへ向かっても行き止まりばかり
 虫だけはコンクリートの穴から向こう側へと行く

 甘受していたのではなく
 ただ甘えていただけのこと

 空の上にいたかのような振る舞いは
 今では雲の中に隠れてしまいたいと
 
 夢を見ていていたのはどちらの自分で
 追いかけているような意識は
 退行と同じ

 空の落ちるのを待って
 地べたを這いずり回る
  太陽は中天に
   太陽は暗天に

 安寧のときは終わる

 とっくの昔に通り過ぎた
 どの分岐点がおかしかったのか

 あの水溜りで足をとられたのは誰だったか
 路肩の紫陽花の上、蝸牛は泰然として

 やわらかく澄んだ音はまやかしに
 低く重たい音は悪意に満ちて

 災いは散りばめられて
 招くのは君

 足元には緑色のビー球が敷き詰められて
 
 頬を殴りつけるのは誰

 救いなどありはしない
 
 薄哂い浮かべて
  指差すのはあなた

 思い出すのは夢のこと
 
 また導く音に足は向く

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無色原野

2007/06/29 04:23
 夢のむこう・・・

 夢から醒めて
  夢のカケラを探す

 青く光る洞窟のそのまた先
  赤い水晶の連なりを抜けて
   緑柱石の森にある湖の傍ら
 一輪咲いた色のない花を見つける

 凡ての色の失われた世界に

  もう一度
   色彩を取り戻す為に

 目に映る総ての物の

  暖かさ
   冷たさを
 身近に感じたいだけ

 当然のようにあった彩りは
  突然私の前から消えて
 もうこの眼は数々の彩を認識できない

 記憶の中にある色を思い出す

 一輪の色のない花に
  思い描くのは過去に知っていた色
 いつか見つけたかもしれない知らない色
 
 夢の中ではなお
  世界は色鮮やかに私を包む
 
 その内に私の願望は
  私の知らなかった色まで作り出して
 意外なことに色を取り戻してしまえば
  もう一生出会えないであろうことも知っている

 それでもまだ

 忘れない
  私の記憶にある世に溢れる彩を

 手放さずにまだ焦がれ続けています

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濁夜

2007/06/28 03:37

 うすら白い夜空に
  月もないのを不思議に思う

 丑三つの刻限であっても
  宵の口のように街は照る
 そこに人のないことを奇妙に思っても
  空にかかる雲には
   人の作った光が反射し
  一向に夜は深まる気配を見せない

 その内に霞がかってぼやけていく視界に
  視力が衰えたかとも思うが
 それも本当ではなく
  ただ辺りに霧立ち始めただけのこと

 空は黒く塗られはしないから
  大気だけはうっすらと深夜の不気味を演出する

 それもなにやらボタンの掛け違いのような
  頓珍漢な印象となって

 まだ遠く騒ぐ若者の笑い声の方が
  より一層おどろおどろしくも感じる

 音もやまず
  光も消えず

 視覚と聴覚は今や休まる場所を持たない

 どこであれ音のやむ場所というのはないが
  人の音のやまない夜というのは居心地の悪いもの
 
 常に人の頚木があり続ける
  そんな中で
 人一人の存在は今宵の空のように
  ぼやけた曖昧さを伴って
 希薄化する

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宵闇

2007/06/26 01:37

 眠りを呼ぶ月影

  雨を運ぶ暗く重い雲

 月は暗幕の奥に顔を隠して

 風は蛙の音も遮るほどに


 空が怒ったように

  機嫌を損ねたように

 誰も皆
  寝静まっているから

 音も光も人工の物はなにもない

 月のあかりを頼りに起きてはいたけれど

  最後に朧に照らして

 そのあとはずっと開かない暗幕の向こう

 最後に月は
  私を眠りへと誘っていたのに

 その手を振り解いた私を

  もう誰も何も振り返ってはくれない

 一人取り残されて
  暗闇の中

 一人は寂しいと

 誰に聞かせる言葉でもないから

  ただ心中で独白する

 心の声は誰にも届くことなく

  深まる闇に

 私自身も飲み込まれて

 そのまま暗い暗い
  
  闇へと消えて

 光一つ発せず

  消える
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礫砂

2007/06/26 01:22

 ひとつひとつと年を重ねて

  いくつかの失くしてしまったものと

 いくつかの得たものの中で

 それでもまだ私の歩みは止まらない


  彷徨うように

 時には逃げるように

  気がつけば
 私の周りからなくなってしまったもの
  いつの間にか私を取り巻くもの

 まるで夢の中にあったことのようで

 今の私が今あるのは

  私という他人の夢のようで

 現実というものはどこか遠く
  ずっと遠くの私の手の届かない場所にあって

 世界というものを私は知りもしないし

  またそれを自身の中に取り込みたいとも思わなかった

 そんな私だから
  世界の中のどこに私があればよいのか
 どこに私が居るのかわからないような
  足元の覚束ない様子で

 私という存在を

  なくした私の欠片と

 今ある欠片とを

  今さらのように結合させようと

 私の歩みは終わらない

 まだ見つけていない私を私は探さなければいけないから

 いつか私が私として死ねるように

  私の自分探しはまだ続く
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一輪の花

2007/06/22 00:10
 渇いた土に水をやりましょう

  きれいな花の咲くように

 渇いた心を癒しましょう

  心が折れてしまう前に

 先の見えないことだからといって
  水遣りを怠ったのでは
 最初から結果のわかる結末しか招きません

  いつ花が咲くかなんてわからないし
   どんな花が咲くのかも知らないけれど

 でもただ愛しいと思って水を与える

  その量が多すぎてもいけないし少なすぎてもいけない

   周囲の環境も整えなければいけない

 なんだか骨の折れることだけど

  そこでやめたなら

 私の心と同じに花も枯れる

  水遣りを怠らないのは私の為

 結局は私の為にしていることだって知っているけれど

  それでも愛しいから

 だから出来ればきれいに咲いて欲しい

  誰がどう評価しようと

 私はあなたを愛した分だけ

  あなたを愛しいと思う

 あなたの心が折れないように

  私の心も折れないように

 なんだか一緒に成長しているような

  不思議な感じ


 ねぇあなたの咲くその日が
  今からもう楽しみで楽しみで

 待ち遠しい

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雨模様

2007/06/20 00:49

 窓際に頬杖ついて
  君は雨垂れを見るともなしに見ている

  聞くともなく雨音を耳にして

  思案顔の先に僕を見つけてくれはしない

 傍によること叶わずに

  いつか傍へ寄ってくれることを夢見る

 気がついて欲しい願いと

  ただ見つめ続けることの幸福と
 
   天秤にかけて心彷徨う

 君はいつもと同じ窓際で一人

  ぽつねんと一人
 
 見透かされてしまう僕の心の奥の奥まで

 そんな深遠さを君はまとって

  ぽつねんと一人

 雨粒の一つ一つと会話するように

 降り続く雨だけが友人であるかのように

  いつまでも
   いつまでも
  雨はやまない

 君の笑顔を僕は知らない

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雨景色

2007/06/19 23:57
 雨が降る

  しとしとと青葉を濡らし
 
   雨が降る


 校庭には色とりどりの傘が咲き

  足早に帰路につく者
 
  談笑しながら歩むグループ

  これ幸いと一つ傘に二人で肩寄せ合う者

 そんな中に一人、ビニール傘のあなたを見つける

  教室の窓の向こう
   降り注ぐ雨の向こう
    透明なビニール傘の下

  あなたを見つける

 遠く遠く
  
  教室は同じ
   座席は隣あわせ

 そんな距離でも私にはあなたは遠く

 この雨がまた私とあなたとの距離をひらかせる

 なぜだろう

  せつなさが止め処なく溢れてくる

 そのうち
  雨脚の強くなった空は

 私の前からあなたを隠してしまった

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駄文1

2007/06/19 22:04

 かんかん照りの空の下
 
 私は紫陽花は雨雲の下で見るのが好きなのに

 日に焼かれて紫陽花の花びらは茶色まじり

 なんだか今年の六月は損をした気持ちでいっぱい
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盲の垣覗き

2007/06/12 23:27

 人を平面に捉えることしかできない僕は

  人の奥行きを知りはしない

 そもそも人にそんな奥行きなんてものがあったなんて

  教えられたところで実感したことないから知らない

 僕は自分が単純なのっぺりとしたものだから
 
  複雑そうに忙しそうに苛立つ人間が奇妙でならない

 だから彼らほどの複雑さを
  僕は持ち合わせていないのだろうなと漠然とは感じている

 僕自身もう少し思慮深くならない限り
  
 いつまでたっても僕の知る人間というものは

  へらべったいもののままなんだろうなぁ

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雷霆

2007/06/09 12:53
 ピカッピカッと空が光る

  空が光って大きな音

 私が雷を恐れるのは
  その光に遠く昔を思い出すから

 また目の前から
  すべてが奪われてしまうのではないか
 
 あの日、息のしなくなった子どもを抱いて
  言葉もなく呆然と立ち尽くす母がいた

 涙なんて流せる状態でなくて
  ただ恐怖を恐怖として
 泣きじゃくることが出来る幼い子どもたちが
  うらやましくさえあった

 途方に暮れるなんて言葉がかわいらしく感じられるほど

  自失してしまって

 もっともあの時は

  周りを歩む人
   走る人
  座り込む人
   
 みんなみんな幽鬼のようだった

  見慣れた街
   遊びなれた実景は

  遠く思い出の中
   情景となって

 よく言われる地獄絵図
  そんなことも別に思いはしなかった

 ただ知っていたはずのものが
  記憶と違う形に
   一瞬にして変容してしまって
 まるでこちらが迷い込んでしまったような
  そんな心許無さ

  何もわからないまま
    何が起こったのか理解するより先に
   いくつもの失ったものを
  知っていく知らされていく

 また空が光って

  私は一つ一つ思い出していく
 
 幸せも不幸せも全部いっしょに

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夕烟

2007/06/07 23:27

 夕焼け空に夕餉の香

  母に呼ばれて

   こそばゆさに照れ隠し

  返事ひとつ

 なぜだかそんなやり取りが楽しい


 とりとめもない日常の

  かけがえのないひとこま

 ずっと続くような錯覚と
  永遠に終わらないでほしい幸福と

 毎日の言葉ひとつ
  返事ひとつで互いの気持ちが伝わる

 今日はいいことがあったのかしら?
  今日は機嫌がたいそうよろしくない

    そんな些細なこと

  取り留めのない会話始めの様子見
  
 言葉の抑揚ひとつで通じ合えることの喜び
  
 なんだかちっぽけなことのようで
  滅多にそんな人とのつながりは生まれなくて

 そんなつながりひとつあることを

  忘れずに
   大切にして

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2007/06/07 20:01
 
 消えていくのは言葉

  記録は失われ
   記憶は薄れゆく

 思い出を表現するすべを私は忘れて


 すれ違う二人があったとして 
  私とあなたの関係を私もあなたも知らない

 胸にちょっとした痛みを覚えるときもあるけれど
  その痛みの理由もわからない

   痛みというものも忘れつつあることは理解できて

  少しずつ少しずつ

 何かが欠けていく

 私の過去が失われて
  私という存在も内側から欠けていく

 突然降ってくる情景は
  幸せそうな結婚式の様子や
   見知らぬ子供の笑い顔
  泣き崩れる人と喪服の大人たち
 
 そんな出来事を言い表す固有名詞も忘れていく

 私の名前をかろうじて覚えてはいるけれど
  人に名を呼ばれても
 すぐにそれが自分を表している言葉だということが理解できない
  そもそも私の名を呼ぶあなたは誰?
 私が今いるここはどこで
  私はなぜここにいるのかしら?

 たくさんのことを忘れて
  何が残っているのかも判然としない

 一巡りしただけ
  何もなかった私が満ちて

 退いていくだけ


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風化

2007/06/06 23:02
 
 路肩の死骸が「にゃぁ」と鳴く

 腐りはがれた肌のした赤黒い肉
  集るハエと湧き出る蛆と

 にゃぁと鳴くのは、実体のない幻で
  
  幻は私のこと

 気持ち悪がってそそくさ横を通り過ぎていく人

 何が面白いのかへらへら笑いでまじまじ覗き込む学童

 カラスに啄ばまれ

 形のなくなっていく死骸

 存在しなくなる前のその死骸に私はなる

 私はいつの間にか死んでいて

  死んでいるのに

 死んでいる自分を観察することさえ出来るという稀有な状態に陥る

 にゃぁと鳴くその声に呼び込まれたようで

 次に鳴いて体を求めるのは私

 その前にこの死骸は食い荒らされて風化してしまうだろう

 私の肉片の一つ一つは

 鳥の餌

 蛆の栄養

 土の養分となって

 私はもとは人間だったような気もするのだけれど

 そんなこと死んでしまってからは意味のないことになって

 ただ、消えてしまったってこと

 それだけ

 心かしら?魂かしら?肉体?

 何か消えたようだけれど

 知らないからいいわ


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虚飾都市

2007/06/05 19:49
 晴れた空は憂鬱

 明るく降り注ぐ陽光は僕を隠してはくれない

 
 遠く遠く見渡せるほど
  ずっと先のそのまた先
 そんな遠くにいる人のひとりひとりの存在が認識できて
  僕の目で捉えることが出来るのだから
   きっとあちら様でもこちらの存在に気がつくことできて

 僕は人の中に隠れたくて
  大都会というビルの林、ヒトの森へと

   うずもれて

  僕という存在をヒトの中に薄める

 太陽の光をさえぎるビルの林
  地下をうねる道と虚飾の光
 人工物のまがい物の光は
  僕を照らしはしないから

 僕の存在は影絵のように
  平面な個性の削がれた者へと変わる
 光の下でヒトの発する光は眩しくて
  そんな輝きがあふれてくると
   ただただ恐ろしくて 逃げ出したくなる

 ヒトのない視線のない場所で
  そこで僕はひとり僕だけを知る

 それでも晴れた日は嫌い
  お日様は平等なんだろうか?

 ヒトにあっては何一つ平等のものなんてありはしない

 生きているものすべてそれは同じだろう

 僕の意思は薄弱で

  僕にはもうなにもわからない

 ひとつ消えてそのまた向こう

  嗚呼今日もまた日が昇る


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命の連環

2007/06/02 18:03


  誕生した子に
   その子の証を与えましょ

 私が産まれて親から頂いたのはひとつの名
  そのほかには何にもなかった

 私の子にひとつの名
  まずはそのひとつをあげましょう

 あなたが産まれてきてくれたことで
  私たちが感じることできた喜び幸せのまず最初のお返しに
 このひとつの名前をもらってください


 まだ目も開ききらないうちに

  まだ私の発する言葉も正確には理解できないでしょうけれど


 あなたの耳元でそっと一言

  あなたの名前を



 ふっと泣き止んで

  それは私だよって
   
 あなたはまるで理解してくれたように
  小さく笑って

 そんなあなたを見て私たちは
  よりいっそうの幸せをあなたからもらった

 ねぇあなたの名前を最初にあなたに聞かせたとき
  あなたは笑ってくれたよ

 その小さな笑みは
  私たちを介してより大きな笑みへと繋がって

 あなたの存在が私たちを動かす力となって


 あなたもまたいつか・・・


  私たちはずっと繋がっていくんだよ



 ありがとう。

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輪廻

2007/06/01 22:41

 互いを支え合う2人の共生は
  いつまでも抜けない棘となって

 肌に食い込み
  赤い血が流れる

 流れ出る血の乾くより先に
  二つの距離は狭まり
   圧迫は常しえに

 寄生植物が同居するように
  互いを糧に、互いに衰退していくだけ
 
 もう離れることは出来ないから
  相手の死は自身の死を意味して
   救いもないが、それでも互いを欲してやまない
  両者の浮かべる表情は病的な恍惚で
 妄信な盲目となって久しい

 何も残ってはいないし
  何かを望むことも
   何かに願うこともない

 自己を意識するよりも
  目の前のただ一人を意識する

 互いがそんな考え方をするようになって
  私自身を知るのは眼前の人ただ一人

 私は私をあなたにゆだね
  あなたはあなたを私に明け渡した

 私の中から私はいなくなり
  あなたの中からあなたは消えた

 抜け殻となったあなたの中には私が
  私の抜け殻にはあなたがまた同様に

 私は今、私という体に閉じ込められたあなたを知る

  私自身を私は忘れてしまったけれど

    あなたを知っている

 私の愛したあなたに私がなって

 あなたの愛してくれた私にあなたはなった

 互いを欲し
  互いに補完しあって

 私はまた明日、あなたに還る


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